夏から秋にかけて様々な品種のぶどうが販売されますが、中でもマスカットは香りが良く、上品でさわやかな甘さがクセになることから多くの人たちに親しまれています。マスカットといえば「シャインマスカット」が主流ですが、贈答品としてよく利用される「マスカット・オブ・アレキサンドリア」という品種もあり、違いは何なのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか？

 

そこで今回はシャインマスカットとマスカット・オブ・アレキサンドリアの違いについて、できるだけ具体的に解説していきます。

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マスカット・オブ・アレキサンドリアとは

マスカット・オブ・アレキサンドリアはシャインマスカットの原種であり、日本で最初に栽培されたマスカットの品種です。その歴史は古く、ローマ帝国時代にまでさかのぼり、日本へ最初に伝えられたのは明治時代になります。名前の由来は香水の「ムスク」からきているという説があり、かの有名なエジプトの女王「クレオパトラ」が愛した果物であるといわれていることから「果物の女王」とも呼ばれています。

 

見た目の美しさ、甘さや香りの高さから贈答品として扱われることが多く、「高級品」として認識されている人気の高いフルーツです。

シャインマスカットとは

シャインマスカットはマスカット・オブ・アレキサンドリアとアメリカの品種「スチューベン」を掛け合わせた「安芸津21号」と、香りの高さに定評がある「白南」を掛け合わせてつくられた、比較的新しい品種の果物です。2006年に登録されて以降、それまでのマスカット・オブ・アレキサンドリアに変わり、マスカットの主要品種として全国に流通しており、高貴な香りと糖度の高さ、味わいの良さから多くの方達に親しまれています。

 

シャインマスカットは日本で開発された品種なので日本の気候に対する順応性が高く、それまで限定的だった国内における生産地が確実に広がりつつあります。

2つの違いについて

シャインマスカットとマスカット・オブ・アレキサンドリアは味わいや香りがよく似ていますが、異なる点もいくつかあります。どのような違いがあるのかについて解説していきます。

種子の有無

マスカット・オブ・アレキサンドリアとシャインマスカットとの違いの1つに、種の有無があります。種なしにすることが困難なマスカット・オブ・アレキサンドリアとは違い、シャインマスカットは「ジベレリン処理」をすることで果実を種無しにし、大きく育てることができます。種を気にせず気軽に食べられる点が、人気が高い理由の1つにもなっています。

皮の厚さ

マスカット・オブ・アレキサンドリアは皮が厚く、食べる際には剥く必要があります。これに対しシャインマスカットの皮は薄くて渋みもほとんどないので、剝かずにそのまま食すことが可能です。どのブドウも種と実の間が最も甘く、シャインマスカットはその一番おいしい部分を逃さず丸ごと食べることができる、魅力的な果物になります。

栽培のしやすさ

マスカット・オブ・アレキサンドリアは栽培が非常に難しく、かつては岡山県でしか栽培することができませんでした。このウィークポイントを改良したのがシャインマスカットであり、日本の気候に対する適応力も栽培のしやすさも格段に向上したため、長野県や山梨県、山形県などのブドウの産地でも栽培できるようになり、生産性の向上が期待できます。

 

生産性が向上し、市場に今よりも多くのシャインマスカットが流通するようになれば、もう少し手頃な価格で味わえるようになるかもしれませんね。

2つのマスカットを食べ比べてみよう！

マスカット・オブ・アレキサンドリアを元にいろいろな交配を重ねて開発されたのがシャインマスカットであり、2つはいわば親戚のようなものです。しかし、種の有無、皮の厚さ、栽培のしやすさなどに違いがあり、一概にすべてが同じというわけではないのも事実です。

 

特に食感や味わいに関しては、皮を剥いて食べるマスカット・オブ・アレキサンドリアと皮ごと食べられるシャインマスカットでは、かなりの違いを感じるはずです。機会があれば2つを食べ比べてその違いを楽しんでください。